先日アスエネ株式会社によるM&Aが話題に上がったAnyflow株式会社ですが、彼らは国内で最も早い段階からiPaaSという領域に機会を見出し、API連携によって多くの課題を解決してきました。
今回はAnyflowのCEO坂本さんとCTO大久保さんに、M&Aの背景やAPIへの思いを語っていただきました。
「本日はよろしくお願いします。弊社ECUはAPI総研というAPIに特化したメディアを運営しており、AnyflowさんはiPaaSという多くのAPIを活用したプロダクトを提供していることから、親近感を感じておりました。坂本さんは弊社代表の小手川とは個人的なつながりもあるということで、今回このような機会を実現させていただき、誠にありがとうございます」
「Anyflowさんはアスエネさんにグループジョインしたということも記憶に新しいですが、まずは、Anyflowがアスエネにジョインされた背景や、ジョインしてからの変化について差し支えのない範囲で教えてください。」

Anyflow株式会社 代表取締役CEO 坂本さん
坂本「結論から言うと、成長角度を上げるためのM&Aでした。Anyflowは元々エンジニア中心のカルチャーが根付いており、特に創業初期にはセールスの経験者はほとんどいませんでした。しかし、日本のSaaS市場は基本的にSLG(セールス・レッド・グロース)を前提としており、特にエンタープライズ向けのセールスに特化するには、組織全体の大幅な変革が必要でした。そこで、アスエネにジョインすることでエンタープライズセールスのプロフェッショナルの力を借り、我々はプロダクト開発に専念できる環境を整えられました。」
「なるほど、そういう背景があったんですね。アスエネグループにジョインしてからはAnyflowそののものの方向性についてはいかがでしょうか?」
坂本「はい。特にAnyflow Embedの部分に関しては、今後も大きな方針転換はなく、M&Aなどで組織再編が行われても根幹の技術や製品の価値は維持されるはずです。むしろ、安定したビジネス基盤を築くことが、これからのAI時代において極めて重要だと考えています。」
「昨今は生成AIの進歩が目覚ましく、2025年はAI Agent時代と言われていますが、その時代におけるSaaSおよびAPIの役割についてはどのようにお考えですか?」
坂本「未来のSaaSは、単にデータベースやビジネスロジックを内包する『口』に過ぎなくなり、どんどんヘッドレス化していくでしょう。
旧来のSaaSは、もともとDBやExcelが持っていたロジックやデータをバックエンドのDBがラップし、UIが付加されることで人間が操作していましたが、これからは操作主体がAIになることによりUIがなくなるシーンも増えるのではと考えています。SaaSは価値のあるデータを持っておかないと勝ち目が薄くなり、データを統合・活用するためにAPIを公開していくSaaSベンダーも更に増えていくのではないでしょうか。
ただし、日本ではAPIを公開するインセンティブがなかなか見出しにくく、大量のデータ抜き出しリスクなど経済的なメリットを提示するのが難しい現状もあります。」
「確かにAPI公開によるARR貢献効果等は非常に出しづらいですよね。しかし、AI Agent時代にはAPIを公開しなければ連携の壁となってしまいそうです。」
坂本「その通りです。今後、APIを公開しなければAI Agentとの連携が困難となり、市場競争に取り残される恐れがあります。この点で、Anyflow Embedの技術が企業とAI Agentの橋渡し役として重要な役割を果たせるのではないかと期待しています。」

インタビュアー ECU株式会社CEO 小手川
「ちなみに、日本ではなぜAPIを公開していないSaaSが多いんでしょう。何か見解ってありますか?」
坂本「やはりAPI公開そのものの経済的メリットが示しづらいというのが大きいと思います。そうなると、APIの公開は一種の思想の問題で、某有名スタートアップは、APIを公開していたほうがかっこいいよねという思想で早くからAPIを公開していたという話も聞きます。」
「iPaaSを運用していくうえで、連携先に公開APIがあることが前提になると思うんですが、連携先に公開APIがないときはどうしてるんですか?」
坂本「Anyflow Embedに「リクエスト&レスポンス」という機能があるのですが、Anyflow Embedを埋め込むことで、外部SaaSへのデータへ送信し、それの応答を受け取って自社サービスのDBに書き込む、みたいな形で簡単に連携することができるんです。
ただ、どうしても要件的にそれが合わないとかはあるので、その場合は連携をお断りするか、地道に交渉するという流れになります。」
「改めて、AI時代にAnyflowが果たしていく役割はどういうものになっていくんでしょうか?」
坂本「エンタープライズ規模の企業はまだAIを充分に利活用できていないところも多くあるので、新規事業ではエンタープライズ企業向けの社内データ連携開発プロジェクトにおいて、Anyflow自体が開発にAIを活用することで生産性を上げて、要件定義やカスタマーサクセス部分も任せていただき、エンタープライズ企業へのAI導入を推進していく立場となっていく、といったことは考えています。」

Anyflow株式会社 取締役CTO 大久保さん
「次に、技術編です。これまで多くのAPIを叩いてきたAnyflowのCTOが考える『良いAPI』とは具体的にどのようなものだったか、教えていただけますか?」
大久保「『良いAPI』の基本は、RFCなどの規格に則った実装です。たとえば、OAuth2.0の仕様に沿った認証機構がしっかりと実装され、APIの挙動やエラーハンドリングがドキュメントどおりであることが非常に重要です。これにより、開発者は安心して利用できる環境が整います。」
「確かに、ドキュメントと実際の挙動が一致していることは、利用者にとって大きな信頼感につながりますね。それ以外の観点で、APIコールするうえで『苦労したAPI』やはありますか?」
大久保「フィルタリング機能のないAPIにも苦労しました。必要なデータだけを抽出するために、全データを取得してからこちらでフィルタリングする手間が発生し、非常に手間がかかりました。これは、AI AgentやiPaaSとの連携を考える上でも、初期段階からフィルタリング機能を実装しておくべきだと感じるポイントです。」
「やはり、必要なデータだけを効率的に取得できるフィルタリングはシステム全体のパフォーマンス向上にも寄与しますよね。」
大久保「また、時折発生する『告知のない破壊的変更』も大変です。事前の告知なしにAPI仕様が変更されると、利用者がその対応に追われることになってしまいます。こうした変更が行われる際には、十分な告知と猶予期間が必須だと思います。」
「仕様変更は必ず発生するものですが、利用者側の立場にたったコミュニケーションが非常に重要ですね。逆に、良い意味で印象に残っているAPIはありますか?」
大久保「いくつか経験があります。まず、GraphQLのAPIですが、CarelyのPublic APIがGraphQLで実装されていたのは当時としては非常に先進的で、印象に残りました。GraphQLを採用するSaaSが増える中で、柔軟なデータ取得手法として評価されていますね。」
Anyflow社のCEOとCTOにAPIを語り尽くしてもらうという豪華なインタビューでしたが、APIに対しての深い知見を聞くことができました。
Anyflow株式会社では、積極的に採用を行っているそうです!
APIのインフラを共に創っていく事に興味をお持ちの方は、ぜひエントリーしてみてください。
https://anyflow.notion.site/Anyflow-9b321b9a62724099be47115c093ed671
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